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「文法ばっかりやってるから話せない」を考える③ [英語教育]

「文法ばっかりやってるから話せない」ではなく、
「文法を話す力の土台になるまで極めなかったから話せない」の方が多くの日本人が
英語を話せない原因に近いのではないか。これが前回出てきた論点でした。

今回はこれを踏まえ「話す力の土台となる文法能力」について考えていきたいと思います。


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まず、英語学習における文法の扱いについて議論するときによく論点として上がるのが
アンチ文法学習派の主張です。

つまり、「英語ネイティブは文法なんて意識していないじゃないか。だから自分たちも
ネイティブのように大量の英語を聞く中で自然に学ぶのが英語学習の王道だ」という主張です。

たしかに、英語を第一言語として話す人たちが文法を意識していないことは
事実でしょう。

僕たちも普段日本語を話すときは「主語だから『が』をつけて、過去形だから文末は『た』を
つけないとな」なんていちいち考えてはいません。

こうした観点からクラッシェンという第二言語習得学では著名な学者も
「文法知識の明示的な学習は第二言語習得を促進しない。それは話すときに
自分の発話が正しいかチェックする機能しかもたない」と主張しています。

しかし、文法を意識していないとは必ずしも文法規則を守っていないことと
イコールではありません。
むしろ、英語のネイティブスピーカーとは文法を意識しなくとも自然に
正しい英語を話すことが出来る人たちです。また文法規則を守っていない英語を聞くと
自然とそのおかしさが分かる人たちです。

その意味で英語のネイティブスピーカーとは英文法を完全に自分のものとして
身に付けている人たちであると言えるでしょう。

では、僕たち日本人も英語ネイティブのように自然に英語を学習すれば
英語を話せるようになるのでしょうか。

日本で生活しながら英語を学ぶことを前提とするならば、答えは限りなくNoです。

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まず第一に英語に触れる時間、英語を使う時間が圧倒的に不足しています。
英語ネイティブが1日に英語に触れる時間は睡眠時間等を除いても毎日10時間は
優に超えるでしょう。

それに対して、日本人の英語学習者はどうでしょうか。学校教育においては
週あたりの授業時間が増やすなどの議論はありますが、毎日1時間英語の授業があるにしても
合計すると授業時間としては週にたったの5時間程度しかありません。
他の教科との兼ね合いもあるので1日中英語ばかりやっているわけにもいきません。

したがって、限られた時間をいかに効率的に使うかという点が
日本で生活しながら英語学習をするうえでの最重要課題です。

英語でのコミュニケーション能力を身に付けることが最終目標ならば
まず考えるべきは「いかに話す力の土台となる文法能力を身に付けるか」
という点であるはずです。

では「話す力の土台となる文法能力」とはどのような能力でしょうか。

様々な段階があるので一概には言えませんが、初級の学習者がまず目指すべきは
「一文単位で正しい英文をすらすらしゃべる力」でしょう。
まずは一文単位で話す能力があるからこそ、まとまりのある内容を話す力、
ある話題について英語で議論する力もついてくるからです。

「文法ばっかりやってるから話せない」ではない。
「すらすら英文を作れるくらいに文法を極めていないから話せない」

こう考えてみると英語学習への取り組み方もまた少し変わってくるかもしれませんね。
僕も自戒の念をこめて精進していきたいと思います。

文法の勉強のやり方についてはまた回を改めて考えていきます。

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