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英会話はCDを聞き流すだけでペラペラって本当?②~聞き流し教材の元ネタ~ [英語教育]

前回は英語学習で話題となっているCD聞き流し型の学習教材の特徴について確認しました。


文法学習や暗記は行わなくてよい、CDを繰り返し聞き流せば英会話は上達するといった
宣伝はたしかに魅力的に思えます。


それではこうしたCD聞き流し型の英語学習教材はどのような理論に基づいているのでしょうか。


今回はその元ネタとなったクラッシェンのインプット仮説について考えてみたいと思います。



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クラッシェンは第二言語習得学では著名な言語学者です。


その中でも特に有名なのが「インプット仮説」という第二言語習得に関する仮説です。


これが聞き流し型の英会話学習教材の元ネタでもあります。


インプット仮説は大きく5つの仮説から構成されています。


今回はその中でも聞き流し型学習教材と特に関連が深い3つの仮説について


見てゆきたいと思います。


①習得・学習仮説


簡単に言えば「習得された知識と学習された知識は全く別物である」という仮説です。


習得された知識とは幼児が言語を習得するときのように自然な学習の中で無意識に
蓄積された知識を指します。


それに対して学習された知識とは中学校の英語で文法を勉強したように
言語の規則を意識的に学ぶ中で蓄積される知識を指します。


つまり、習得された知識が無意識的な知識、学習された知識は意識的な知識です。


クラッシェンは自然なコミュニケーションで役に立つのは学習によって得た知識ではなく、
自然に習得された知識であると主張します。


また、習得・学習仮説では習得された知識と学習された知識は全く別物であると
考えられるため、いくら英語を意識的に勉強してもコミュニケーションに役立つ力は
身につかないということになります。



②モニター仮説


「学習によって得た文法知識は自分の発話をチェックするモニターの役割しかしない」
という仮説です。


例えば「彼はテニスをします」という英語を発話するとき、
「彼は3人称単数現在だからsをつけないとな」と考えるのはモニターの働きです。


しかし、習得・学習仮説と同様にクラッシェンはコミュニケーションで役立つのは
習得された知識だと主張します。


つまり、いちいち「彼は3人称単数現在だからsをつけないとな」と考えることなく、
He plays tennisと文法的に正しく話せる力を身に付けていることが大事だということです。


この①習得・学習仮説と②モニター仮説が聞き流し型教材の
「文法学習は不要」という主張の元ネタです。


③インプット仮説


言語は聞く、読むというインプットを理解することで習得されるという仮説です。
その中でもクラッシェンは特に「聞く」を重視しています。


クラッシェンは習得のためのインプットの条件として大きく2つの条件を掲げます。


1つ目が「理解可能なインプットであること」です。


つまり、意味の分からない内容を聞いたり読んだりしても
習得は起こらないということです。


2つ目が「学習者の現在のレベルより少し高い i+1のインプットであることです」
(iとは現在の学習者のレベルを指す記号です)


レベルアップのためには、新しい言語項目を学んで理解する必要があります。


そうした新しい項目を既習内容と一緒にインプットに自然に混ぜることで
習得は進むとインプット仮説は考えます。


このインプット仮説はかなり極端な立場をとっていて
「習得に必要なのはインプットを理解することだけだ」と主張します。

つまり、文法学習やアウトプット(話すこと)は習得には必要ないということです。


ある意味幼児の母語習得と同じような方法で言語習得を目指すスタンスと言えるでしょう。


CD聞き流し型学習教材の「聞き流すだけでペラペラ」の元ネタがこの仮説です。


それではこうした一連の仮説に基づく言語教育はどの程度うまく機能したのでしょうか。


ここにCD聞き流し型教材の効果と限界を探るヒントがありそうです。


次回はクラッシェンのインプット仮説に基づくイマ―ジョンプログラムの効果と限界について
考えてみたいと思います。

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